韓国、クムホタイヤ買収問題まとめ

コンソーシアム許可をめぐって異見

錦湖タイヤは、韓国国内シェア2位、世界シェア14位のタイヤメーカーだ。昨年、連結基準の売上2兆9472億ウォン、営業利益1200億ウォンを記録したが、主力の中国市場での不振と米国、中国など海外工場に投入された費用が増え、379億ウォンの当期純損失を記録した。

1960年に故パク・インチョン錦湖グループ創業主が会社を設立した後、錦湖タイヤは半世紀の間、アシアナ航空とともにグループの主力系列会社だった。2009年に入って、グループが流動性危機を経験し、解体の危機を迎えると、錦湖タイヤは、錦湖産業とともに2009年末からワークアウトに入った。経営正常化努力の末に5年後の2014年12月にワークアウトを卒業し、産業銀行、ウリィ銀行などで構成された債権団は昨年9月、錦湖タイヤの売却公告を出して新しい主人を探していた。

流動性危機:錦湖タイヤと錦湖産業は、2006年と2008年の大宇建設と大韓通運を無理に買収したことが流動性危機を起こした原因
ワークアウト:企業の財務構造改善作業のこと

 

中国メーカー3社が入札に乗り出した中、今年1月、最も高い金額を提示した中国のタイヤメーカー’ダブルスター’が優先交渉対象者に選ばれた。ダブルスターはシェア世界34位規模の中小タイヤメーカーだ。債権団は3月13日ダブルスターと錦湖タイヤの持分42.01%を9550億ウォンで売却することとする売却株式売買契約書(SPA)を締結した。

ダブルスターとSPAまで締結された状況で残ったのは優先買収請求権を持つ朴三求・錦湖グループ会長の請求権の行使だ。優先買収請求権は第3者に会社が売却される前に第3者が提示した条件と同じ条件を出す場合、優先的に会社を買うことができる権限だ。朴会長は錦湖タイヤがワークアウトに入った当時、1130億ウォンの私財を拠出するなど努力した点が認められ、債権団から優先買収請求権を与えられた。朴会長がダブルスターと同じ価格以上を提示すれば、錦湖タイヤをすぐ取り戻すことができる。債権団が朴会長に提示した優先買収請求権の行使の決定期限は4月19日だ。

錦湖タイヤは主力系列会社でもあるが、グループ再建に向けて、朴会長が必ず買収しなければならない対象だ。朴会長は2015年、錦湖産業を取り戻したのに続き、錦湖タイヤと錦胡高速も買収して持株会社である錦湖ホールディングスを中心にグループ、垂直系列化を完成するという青写真を描いている。錦湖タイヤは朴会長がグループに初めて足を踏み入れたときの最初の職場でもある。

問題は、朴会長は錦湖タイヤを買収するお金がないという点だ。そのため、コンソーシアムを構成し、様々な財務的・戦略的投資者たちから資金を集めた後、錦湖タイヤを買収するというのが朴会長の計画だ。しかし、債権団は「原則上、コンソーシアムを許容できない」と反対の立場を固守している。債権団内部的には議決機構である株主協議会内でもコンソーシアムの許容問題をめぐって異見があるとされている中、売却主管銀行であり国策銀行の産業銀行が特にコンソーシアムの許容に否定的だ。

産業銀行は優先買収請求権の約定書にある「株主協議会の事前同意なしに、優先買収請求権を第3者に譲渡できない」という条項のため、コンソーシアム不可の方針を固守している。コンソーシアムを構成して錦湖タイヤを買収する場合、事実上、優先買収請求権をコンソーシアムに売却ないしは譲渡する形になるためにコンソーシアムを許容できないというのが産業銀行の論理だ。

すでに朴会長に優先買収請求権を付与したこと自体が’特恵’という指摘がある上に投資業界で通常許可しない優先買収請求権譲渡まで認めた場合、また、他の特恵是非の議論をもたらす憂慮もある。これに産業銀行は、朴会長に「コンソーシアムの許容を要求することに先立って、具体的な資金調達計画から明らかにしてほしい」と要請している。これは事実上買収資金を朴会長自費で模索せよという意味に解釈される。根本的に朴会長の資金繰り能力に対する「不信」があると読み取れる部分だ。

これは朴会長が招いた側面もある。当初、錦湖タイヤをワークアウトの危機に追い込んだ当事者が朴会長だ。朴会長は2006年12月、財務的投資者たちから今後の一定価格で再び株式を購入することとする「プットバックオプション」を提供し、3兆5000億ウォンの投資を受けた後、錦湖産業、錦湖タイヤなどの系列会社を動員して当時、売りに出ていた大宇建設を6兆ウォンを超える価格で買収した。一時財界序列7位まで上がり、飛翔したかに見えたが、世界金融危機で建設景気が急落し、グループ全体が危機を迎えた。結果的には朴会長が大宇建設の買収のため、無理に資金を集めてきたわけだ。2015年、錦湖産業の買収の件も資金の出所に問題があるという批判を受けたりもした。

錦湖産業の買収:クムホ・アシアナグループの金を使わない条件でコンソーシアムに売却したが、コンソーシアムに投資した各企業との契約に、クムホグループが危機に陥った原因の「プットバックオプション」が付いている可能性が極めて高い。


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