韓国造船業構造調整ーその1

大宇造船海洋工場

前提の説明

大宇造船海洋の状況

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 大宇造船海洋という造船会社は、2016年6月末までの半期決算書を8月に公示し債務超過が判明。2015年も政府系金融機関が主導し支援したのだが、結果としては、うまくいっていない。

 

こちらが大宇造船海洋のバランスシートで2016年6月末に債務超過になっている。
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 大宇造船海洋の問題点としては、流動負債(社債・借入金)があまりに多いことで、下の図の通り社債償還時期が間近に迫っているものが多いが手持ちの現金預金が少ないため返済に窮することに。過去の営業利益も下の図にありますが、この数年状況が悪く、今後、よくなる見込みがあるのかも債権者などが救済するにあたってのポイントになっている。

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韓国の造船業界

 韓国の造船業は、「サムスン重工業」「現代重工業」「大宇造船海洋」の3社がBIG3を形成していましたが、近年の造船不況により、中国・日本のライバル会社との競争が激しく、中国・日本では業界の再編や業務提携により生き残りをかけた戦いに出ようとしているところですが、韓国ではBIG3内で意見が対立している構造が明らかになっています。政府は業界内で解決してほしいという立場のようですが、業界内の人々はそのように思っていません。大宇造船海洋以外の2社も世界の企業との競争があり、大宇造船海洋を買収するなどと軽々しく言えないのも実情です。(詳細は各記事をごらんください)

 

以下、東亜日報の記事の引用を紹介します。上述以外の大宇造船海洋の問題点が紹介されています。


大宇造船どこに…「運命の10月末」

1兆ウォン残金ドリルシップ引渡し交渉再開…本社ビル売却-希望退職も輪郭
資金確保の失敗時は流動性危機に

 

 今月末、大宇造船海洋はアンゴラの石油会社ソナンゴルのドリルシップ(原油の掘削船)引渡交渉が再開される見通しだ。また、ソウル中区南大門路の大宇造船海洋の本社ビル売却交渉も、今月末の輪郭を現わすだろうと見られる。さらに、大宇造船債権団の出資転換(DES)規模確定希望退職など自助計画に含まれた核心事案も、今月まで終わらせなければならない状況だ。10月が大宇造船構造調整の分水嶺になるものと予想される。

 

○今月末ソナンゴル、ドリルシップ交渉再開

 13日、金融当局と造船業界によると、最近ソナンゴルは大宇造船側に「今月末までにウエーバー交渉を完了する」と明らかにした。ウエーバー交渉は債務を負った会社が「新規資金支援を中断するか債権回収をしない」という約束を海外債券銀行から取り付ける交渉だ。ソナンゴルが公言し次第、今月末までにウエーバー交渉がまとまれば、大宇造船とのドリルシップ引渡し交渉が本格化する見通しだ。

 今後、ドリルシップ引渡し交渉の核心は、ソナンゴルがどれだけ信頼性のある担保を提供するかだ。ソナンゴルは大宇造船のドリルシップ2基に対する代金12億4000万ドル(約1兆4012億ウォン)のうち、残金9億9000万ドルを支払わなければならない。当初ソナンゴルは6月から7月に海外銀行から貸し出しを受けて残金を払う計画だった。しかし、融資保証人になることにしたノルウェー輸出保証公社(GIEK)が手を引いたため計画がこじれた。

 韓国国内政策金融機関がGIEKの代わりにソナンゴルの融資保証人になりドリルシップ引渡しが急ピッチで進められるようになる。しかし、応分の担保が必要だ。金融界の関係者は「ソナンゴルが保有した石油採掘鉱区に対する利益権を保障するなどの魅力的な担保を持って来なければ交渉が肯定的に展開する」と話した。

 本社ビル売却に対する輪郭も今月末に出るものとみられる。大宇造船は当初コラムコ資産信託に本社を売却しようとして交渉が決裂し、優先交渉対象者をキャップストーン資産運用に変えた。協約によってキャップストーン資産運用が今月末まで、投資者募集に成功すれば、大宇造船は本社の売却を通じ、約1700億ウォンを調達できるようになる。しかし、コラムコ資産信託のようにキャップストーン資産運用が投資者募集に失敗すると、売却が振り出しに戻る可能性もある。

 

○下半期の黒字展望優勢…出資転換規模に関心

 今月末まで大宇造船が希望退職を通じて、1000人を削減すれば、KDB産業銀行と韓国輸出入銀行が資本の拡充などの支援に乗り出すものとみられる。金融当局の関係者は「資本拡充の前提条件は骨を削る構造調整」とし、「希望退職が実行されてこそ名分ができる」と話した。ホンソンテ新任大宇造船労組委員長が率いる労組を説得するのが変数になるものとみられる。

 3四半期(7∼9月)を含めた下半期(7∼12月)大宇造船が小幅な黒字を出す可能性があるという点は、肯定的なニュースだ。大宇造船は現在特殊船など防衛産業物量に対して発注先から5000億ウォンを繰り上げて受注する案を推進中だ

 現在まで大宇造船の受注額は13億ドルで今年の目標額35億ドルに大きく及ばない手付金として流入する現金も予想より減った状況だ。ソナンゴルドリルシップ引渡、本社の売却、希望退職などを通じた自助案が着々と実行されなければ、4400億ウォンの社債の満期が到来する来年4月、流動性危機に直面する可能性も排除できない。大宇造船は2017年、2018年、総1兆2900億ウォン規模の社債の満期が到来する。金融当局の関係者は「昨年決定した4兆2000億ウォン以外に追加支援がないという方針を持って自己救済案履行を最大限急いでいる」と明らかにした。

参照:東亜日報

【用語】
DES:Debt Equity Swap負債を資本に組み入れること


記事のまとめ

ポイントは4つをすべて成功させることになります。

  1. ソナンゴルにドリルシップを引渡し9億9000万ドル(約1兆1000億ウォン)を回収すること
  2. 本店の売却を確定させ1700億ウォンを手にすること
  3. 人員削減を行うこと(1,000人)
  4. 金融機関から支援を受けること(借入金を資本金にするDebt Equit Swapの実施)

 大宇造船海洋は2016年の当初目標からは遠く及ばない数字しか出せていないのだが、今後、韓国の軍需産業関連事業を受注することで2016年下半期は黒字化が見えてくる可能性があるというのが、大宇造船海洋側の考えになっていると考えられます。(大宇造船海洋側の立場

なお、上記ポイント1〜4のうち、確定させたと言えるものは1つもありません。強いて挙げるなら3は対応を始めたようですが、下請け会社を切り捨てているようで、経営悪化の原因を作った大宇造船海洋の役員はそのまま居残るような動きを見せております。

 次回の記事の前に、大宇造船海洋以外の2社と政府の立場をお伝えしておきますとこんな感じです。

  • 現代重工業・サムスン重工業:大宇造船海洋を支援するなんてできない
  • 政府:資金援助するなどして大宇造船海洋を残したい(理由:造船業に従事している労働者が多いため雇用を守りたい)

 大宇造船海洋の役員は、天下り連中が多く、何もしていないのに給料だけもらうという経済活動への貢献度がまったくない輩が多いことはすでに白日のもとに晒されています。