韓国貿易危機 2016年10月

保護貿易に阻まれて、中国特需影を潜め…10月の輸出18%激減

この8月からPOSCOが作る熱延鋼板の対米輸出が全面中断された。米商務省がPOSCOの熱延鋼板について57%の反ダンピング関税を賦課したためだ。事実上輸出しないという意味だ。先立って、今年初めから米国は、POSCOの冷延鋼板と耐タンパー腐食性の鉄鋼製品についても反ダンピング関税を賦課した。 鉄鋼協会の関係者は「POSCOとしては、年間7億ドル(8000億ウォン)に達する米国輸出を諦めざるを得ない」、「米国の保護主義に国内鉄鋼業界が深刻な打撃を被るだろうという懸念が現実化され始めた」と話した。 韓国産石油化学製品に対するEU、インドネシアなどの輸入規制も相次いでいる。

蔚山石油化学団地にあるハンファ総合化学工場は「サバイバル(Survival)100」と書いた垂れ幕を掲げている。生存のために100週間、骨を削るようなコスト削減をしようという意味だ。 合成繊維原料である高純度テレフタル酸(PTA)を作るこの工場は昨年10月、年間40tを生産するライン1つの稼動を中断した。中国石油化学企業が輸入を中止したためだ。中国の地元企業が工場の新設してPTAを大量に生産、中国国内の需要充足はもとより、輸出も本格化している。一時、対中輸出で利益を得ていた韓国企業は中国企業やグローバル市場で競争し、生存を心配しなければならない状況になった。

韓国の輸出が崖っぷちに追い込まれている。今月に入って10日までの輸出は昨年同期より18.2%急減した。IMF通貨危機の時よりも長い19ヵ月連続マイナスを記録して8月にようやく成長の勢いへ転じたが、先月、すぐに5.9%減少したのに続き、再び急落傾向を見せている。特に米国(-23%)EU(-27%)など先進国はもとより、中国(-18%)とインド(-30%)・ロシア(-21%)など新興国でも大きな幅の減少を見せている。

米国の通商圧力と中国発特需の行方不明で韓国の輸出は、二大市場で深刻な打撃を受け始めた。 ここ最近は韓国の輸出企業のツートップであるサムスン電子・現代自動車までさまざまな悪材料に悩まされ、輸出が急減している。

全方位的保護貿易主義打撃現実化

足元に飛び散る火は韓国製製品に対する各国の輸入規制だ。 米国のようにインドも韓国産熱延鋼板に対する反ダンピング調査に乗り出し、8月対インド輸出が前月より40%減少した。ターゲットは鉄鋼だけではない。LG化学・愛敬油化・ハンファケミカルは、米国に輸出する可塑剤(プラスチック製造に主に使用される化学物質)に対する反ダンピング関税を支払う危機に直面した。 米商務部が来年2月、反ダンピング関税の最終判定を下した場合、韓国企業3社は24~48%の関税を追加で払わなければならない。業界関係者は「韓国製の可塑剤は米輸入市場でシェア56%1位を走っているが、反ダンピング判定を受けた場合、価格競争力を失うことになる」と話した。韓国製製品に対する規制が相対的に少なかったEUも過ぎた8月からは国内産の高純度テレフタル酸(PTA)に対する反ダンピング調査に着手した。今年に入って9月までを相手にした反ダンピング調査、セーフガードなどの輸入規制関連新規の提訴は、34件で、1年前の同期間より30%増えた。特に、新興国発の提訴の割合が76%に跳ね上がった。世界景気の減速で困難に陥った新興国が自国の産業を保護するための措置だ。

中国特需なくなり、市場競争者に

韓國輸出の牽引役をした中国輸出は15ヵ月連続マイナスを記録している。対中輸出が減少した理由の一つは、中国が韓国などから半導体・ディスプレーなどの部品を輸入した後、製品として組み立てて輸出していた戦略を独自に生産する方向へ変えたからだ。

韓国精油業界も「中国リスク」に直面した。設備を着実に増やしてきた中国は昨年から精油製品純輸出国に転換した。このため、韓国精油会社は、中国向け輸出の減少はもちろん、海外市場開拓で、中国とも戦わなければならない二重苦を経験している。中国代替市場として開拓したオーストラリアですら、韓国精油会社各社の輸出は昨年116万バレルから、今年に入って13万バレルへ減少した。

「化粧品・ゲームなど多角化と製造業4次産業革命で突破してこそ」

専門家たちはここが直面した「輸出の崖」を突破するためにはまず品目と市場の多角化を注文した。 キムグクス貿易協会国際貿易研究院長は「輸出、新市場の開拓に向けては韓流の恩恵を受けることのできる化粧品、ゲームなどを掲げて東南アジアやインドなどを集中的に開拓しなければならない」と話した。また、限界に直面している製造業の競争力の復元のためには「4次産業革命」を強調する声も多い。ホユン西江大学国際大学院長は「日本より安く、中国よりいい」といわれていた韓国の輸出競争力が今は「日本より劣り、中国より高い」いう評価を受けている、従来の製造業に物のインターネット(IOT)技術を取り入れる4次産業革命こそ「コスト削減の極大化モデル」で、「韓国で生産しているが、価格は中国水準」という競争力を作ることができる兵器と話した。

ソース:朝鮮日報

http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2016/10/14/2016101400378.html

韓国輸出額推移

韓国輸出額推移(単位:MUSD)
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
1月 30,735 44,465 41,200 45,673 45,560 45,105 36,268
2月 33,039 38,467 46,316 42,332 42,912 41,472 35,929
3月 37,309 48,053 47,330 47,313 49,064 46,823 43,006
4月 39,301 48,537 46,095 46,158 50,267 46,222 41,083
5月 38,888 47,331 46,872 48,308 47,577 42,327 39,741
6月 42,049 46,737 47,163 46,691 47,828 46,555 45,200
7月 40,424 48,950 44,668 45,830 48,205 45,696 40,955
8月 36,481 45,792 43,045 46,311 46,108 39,107 40,123
9月 39,411 46,511 45,413 44,650 47,446 43,432
10月 43,340 46,613 47,088 50,480 51,631 43,352
11月 41,261 46,013 47,805 47,905 46,605 44,285
12月 44,145 47,744 44,875 47,981 49,461 42,380

聯合ニュースの記事の通り、19ヶ月連続で前年同月比でマイナスが続いていた今年8月の韓国輸出が401億ドルでプラス(2.6%)に転じています。しかし、昨年2015年8月の輸出額は391億ドルで、2015年で最低な数値であり、かつ、2011年まで遡らなければならないほど悪い数値であった。その前年同月と比較してプラスに転じただけであり、8月に何かプラス材料があったかといえば強いて挙げるならば、Galaxy Note7発売(10月に販売中止)されたため関連の輸出が増加した可能性があるが、それ以外には特にない。

 

そのため、国別の輸出額上位50位を抽出し、前年同月比較で10億ドルを超える増減があった国をピックアップしてみたところ、コンゴへの輸出増が一番多く、次に、香港、ベトナムと続いていた。ベトナムに限れば、ベトナム自体の輸出の20%がサムスン電子関係であることから、上述のGalaxy Note7関係の取引が韓国・ベトナム間で行われたと見るのが妥当と思われる。コンゴ・リベリア・ノルウェーへの輸出は過去の取引から考えて一時的なものであると思われる。

Country 2015(08Month) 2016(08Month)  単位:1000USD
Value Inc. Rate Value Inc. Rate
Total 39,107,399 -15.2 40,123,313 2.6 1,015,914
Pr.China 10,883,915 -9.2 10,304,352 -5.3 -579,563  
U.S.A 5,059,167 -4.9 4,820,769 -4.7 -238,398  
Hong Kong 2,487,845 9.1 3,227,705 29.7 739,860  
Viet Nam 2,245,105 32.2 2,751,830 22.6 506,725 A
Japan 1,870,365 -25.8 2,004,654 7.2 134,289  
Congo 2,148 -83.7 1,159,333 53,877.40 1,157,185  
Taiwan 829,827 -35.9 1,009,347 21.6 179,520
Singapore 1,307,027 -25 953,420 -27.1 -353,607 A
Mexico 914,389 14 929,408 1.6 15,019
India 867,712 -15.5 867,397 0 -315
Malaysia 618,153 15.5 644,197 4.2 26,044 A
Thailand 503,267 -17.7 588,111 16.9 84,844 A
Philippines 607,787 -31.2 562,273 -7.5 -45,514 A
Indonesia 552,633 -34.9 480,336 -13.1 -72,297 A
Germany 426,780 -18.4 476,489 11.6 49,709 E
Liberia 783 -99.9 461,459 58,855.70 460,676
Australia 797,825 -3.7 459,079 -42.5 -338,746  
Saudi Arabia 675,249 39.8 438,244 -35.1 -237,005  
Turkey 510,077 -2.3 410,724 -19.5 -99,353
Russia 372,236 -46.9 388,997 4.5 16,761
Marshalls 338,216 -63 380,945 12.6 42,729
Brazil 381,281 -44.1 380,394 -0.2 -887
U.A.E. 408,690 -20 331,328 -18.9 -77,362
Iran 251,061 -23.6 318,406 26.8 67,345
Canada 346,702 2.7 299,668 -13.6 -47,034
U. Kingdom 297,145 -27.6 299,060 0.6 1,915 E
Norway 10,843 -30 288,019 2,556.20 277,176 E
Poland 226,945 -31.4 251,695 10.9 24,750 E
Italy 298,659 -5 246,911 -17.3 -51,748 E
Netherland 276,987 -55.6 236,927 -14.5 -40,060 E
Slovak 281,415 -13.1 233,432 -17.1 -47,983 E
Spain 163,290 -3.4 182,120 11.5 18,830 E
Kuwait 50,213 -79.9 167,492 233.6 117,279  
France 291,139 72.7 160,846 -44.8 -130,293 E
Cyprus 1,941 -18.5 149,440 7,599.60 147,499 E
Czecho Republic 152,142 14.8 145,693 -4.2 -6,449 E
Belgium 156,537 -12.2 139,629 -10.8 -16,908 E
Panama 203,800 176.1 138,444 -32.1 -65,356
Egypt 147,257 -20.5 129,722 -11.9 -17,535
Slovenia 137,977 -11.1 118,281 -14.3 -19,696 E
Iraq 68,298 -42.1 106,127 55.4 37,829
Israel 83,565 -4.2 106,099 27 22,534
Peru 83,086 -16.3 102,873 23.8 19,787
Chile 116,478 -0.1 100,077 -14.1 -16,401
Greece 15,840 -19.9 88,396 458.1 72,556 E
N.Zealand 81,443 -41.9 83,303 2.3 1,860
Bangladesh 79,887 -17.6 76,908 -3.7 -2,979
South Africa 82,849 -15.6 76,284 -7.9 -6,565
Hungary 79,505 -86.6 74,234 -6.6 -5,271 E

E:EU加盟国、A:ASEAN加盟国

 

そこで、化粧品・ゲームなどの輸出を突破口にしたいということなのだろうが、韓国の化粧品やゲームでまともな収益を出せているのが、中国・日本・台湾・東南アジア圏だけで、欧米ではそれほどの売上は出ていないのが、韓国ゲーム会社の有価証券報告書を読む限りは実情のはず。しかも、その国々とはそれなりの貿易規模になっているため、さらなる増加を見込めるのか?ということになるのだが….

また、IOT技術の輸出ということも韓国では以前盛んに言われていたが、ここ半年以上前年同月比較でマイナスが続いている。

 

韓国経済に明るい光が見えてくる産業が一切ないのが実情なのではないだろうか。